谷口けい「冒険なくして新しい登攀(人生)はあり得ない」 趣旨
世界の山々の未登攀ルートに成功するなど日本のアルパインクライミングシーンを牽引してきた谷口けい。彼女は巨大な壁の登攀だけでなく、その壁へのアプローチをも彼女は僻地の旅として楽しんでいました。
一方で谷口は、インタビューや講演会で、人生における「冒険」の必要性を力強く語っていました。
その言葉に力があったのは、谷口自身が、未知なる大自然に身を置き、がむしゃらに限界に向かってチャレンジすることで、新しい自分に出会えると思っていたからです。
また谷口は 「40歳までは吸収の人生。40歳からは還元の人生」との思いがあり、これまでの自らの体験を社会に伝え始めていました。
しかし大変残念なことに、2015年12月、谷口は登山中の不慮の遭難によって、志なかば、43歳の若さで突然帰らぬ人となってしまいました。
谷口の死後、父の谷口尚武さんは、愛娘が生前コツコツと貯金を貯めていたことをはじめて知りました。
尚武さんは「彼女の貯金を有効活用したい。」と考え、尚武さんから相談をうけた有志が、亡くなった谷口の遺志を引き継ぐべく、谷口けい冒険基金を立ち上げることになりました。 なお、基金の運営は、関係者の一人、登山家の野口健が代表をつとめるNPO法人が行うことになりました。
父、谷口尚武からのメッセージ
幼少のころから、学校の帰りに回り道をして森や田畑で遊んでくるなど小さな冒険が好きで、クライミング、アドベンチャー、MTB、シーカヤックなど様々なことにチャレンジし43歳で逝った けいが常々、口にしていたのは
「冒険にチャレンジしようとする若手を育成、支援したい」
ということでした。そのため娘の意志を尊重して野口健さんはじめ関係者ともに相談した結果、このプロジェクトを立ち上げることになりました。さまざまな冒険にチャレンジしようという方が出て来られることを切望する次第です。
谷口けい
1972年、和歌山県生まれ。98年、明治大学卒業。卒業後、マスコミ業界で2年半働く。
退職後の2001年夏に参加した伊豆アドベンチャーレースで優勝。2002、2003年、野口健エベレスト清掃登山隊に参加。
その後、平出和也とヒマラヤの未踏の壁の数々を登攀。
2008年カメット南東壁初登攀により世界で初めて女性によるピオレドール賞を受賞。このような経験を活かし、谷口は山岳ツアーリーダーとして世界各地のトレイルをガイド。国内ではファシリテーターとして活躍。チームワークを向上させる方法など、野外活動を通じで社会人に教授していた。
「40歳からは還元の人生」と語っていたように、冒険での経験を社会に還元しようと谷口は考え始めていた。
2014年9月には、女子大学生4名を連れてネパール・ムスタンマンセイル峰(6242m)に初登頂した。
しかし、15年12月北海道大雪山系黒岳山頂付近から滑落。享年43歳。



